ニチリウは日本流通産業株式会社の略称で、「くらしモア」というプライベートブランドをボランタリー・チェーンとして加盟しているスーパーマーケットに提供しています。
表記は「ニチリウ」ですが、実際には「ニチリュウ」と発音しています。
加盟しているスーパーは15社+3生協(2022年9月現在)となっています。
ボランタリー・チェーンについては下記記事をご覧ください。
日本流通産業株式会社 詳細(会社概要)
- 社名:日本流通産業株式会社
- メイン業務内容:商品の共同開発・共同供給、関節資材の共同購入
- 主なブランド(店舗名):くらしモア
- 展開地域:全国(九州を除く)
- 本社所在地:〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島7-20-1
- 代表電話番号:06-6454-0688
- 株式上場:非上場
- 会長:-
- 社長:大桑 弘嗣
- 設立:1974年6月1日
- 主要株主:株式会社平和堂・株式会社オークワ
- 公式サイト:https://www.nichiryu.co.jp/
- Wikipediaで確認する
- 株価確認(Yahoo!):-
日本流通産業株式会社の発足について
1970年代に入って、ダイエーや西友ストアーなどが全国的に店舗数を増やし大手スーパーマーケットが大きく伸びていく時期になってきました。
また大手スーパーは1社でプライベートブランド・ストアブランドを開発していきました。それに対抗して中小の食品スーパーマーケットが共同でプライベートブランド・ストアブランドを開発・販売することを目的として、1973年にCGCが設立されました。
CGCが主に関東のスーパーが集まって組織されたのに対して、翌年の1974年6月に主に関西を含む西日本のスーパーが集まって日本流通産業・ニチリウが設立されました。
参考までに1972年当時のスーパーマーケットの売上順位は下記のようになっています。
順位 | スーパーマーケット名 | 売上(単位:億) |
1位 | ダイエー | 3032 |
2位 | 西友ストアー | 1668 |
3位 | ジャスコ | 1550 |
4位 | ニチイ | 1442 |
5位 | ユニー | 1264 |
6位 | 長崎屋 | 993 |
7位 | イトーヨーカ堂 | 826 |
当時1位だったダイエー、4位だったニチイ(旧マイカル・サティ)は、当時3位だったジャスコ(現イオン)に吸収合併されています。
5位だったユニー(現アピタ等)や6位だった長崎屋は、現在はPPIH傘下の企業となっており、時代の流れを感じます。
ただこれだけ大きなスーパーマーケットが登場してくると、中小の食品スーパーに焦りが見えてくるのも当然で、CGCやニチリウのようなボランタリー・チェーンの発足は自然な流れのように思います。
ニチリウは、平和堂、イズミ、オークワ、ライフコーポレーション、さとう、グランドタマコシ(平和堂東海を経て、現・平和堂に事業譲渡)、ヤオハン(現・マックスバリュ東海)の7社により設立されています。
ニチリウグループについて
日本流通産業株式会社が主宰となってニチリウグループを構成していますが、CGCや八社会と大きく違う点は、会社だけでなく生協(組合)やドラッグストアも加盟していることです。
2022年現在のニチリウグループは下記の15社および3生協です。
スーパーマーケットがメインの会社
- 株式会社エコス:関東がメイン
- 株式会社サニーマート:四国がメイン
- 株式会社オークワ:関西・東海がメイン
- 株式会社サンエー:沖縄
- 株式会社近商ストア:関西メイン
- 株式会社仁科百貨店:岡山県
- 富士シティオ株式会社:関東メイン
- 株式会社平和堂:関西・東海・北陸がメイン
- 株式会社ヤマザワ:山形・宮城
- 株式会社さえきセルバホールディング:関東・山梨・鳥取・島根
- 株式会社ライフコーポレーション:関東・関西
- 株式会社さろう:関西・福井
- 両備ホールディングス株式会社:岡山
ドラッグストアがメインの会社
- 株式会社クリエイトエス・ディー
- サツドラホールディングス株式会社
生協
- 生活協同組合 コープさっぽろ
- 生活協同組合 ユーコープ
- 生活協同組合 コープこうべ
それぞれの会社の売上を合計する約3兆円にも達しており、店舗数は約2000店舗となっています。
ボランタリー・チェーンのため、加盟している1社1社が独立しているため、一般的なホールディングス企業とは異なりますが、ニチリウグループとして、小売業に影響があることが伺えます。
なおドラッグストアのクリエイトSD、サツドラを知らないという方も多いと思います。
クリエイトSDは、神奈川県を中心に700店舗を展開するドラッグストアです。特に神奈川県においては、業界最大手のウエルシア系列を凌ぐ約350店舗を展開しています(ウエルシアは約230店舗)。
サツドラは、北海道でシェア2位のドラッグストアです。
ニチリウのプライベートブランド「くらしモア」
ニチリウが展開している代表的なプライベートブランドが「くらしモア」です。
食料品から日用消耗品、化粧品からペット用品まで幅広く展開しています。
コープにおいては、コープブランドに並んで「くらしモア」が置かれていて違和感を感じることもあります。
ただライフなどは、自社プライベートブランドを充実させているため、ライフで「くらしモア」商品を探すのが大変な状況であるほど、扱われていません。
実際に中型店のユーコープの店舗と比べても大型店のライフの方が「くらしモア」の商品数が少ないくらいです。
フジなどの中小スーパーマーケットの方が取扱が多いです。
ただしフジも自社プライベートブランド商品を増やしています。
ニチリウグループとしての電子マネーやクレジットカード
ボランタリー・チェーン最大手のCGCは独自の電子マネー「CoGCA」や「CGCグループ共通商品券」を発行しています。
ニチリウグループはグループとしての電子マネーや商品券、クレジットカードなどは発行していません。
例えば、ライフはJCBと組んで独自のクレジットカードを発行しています。
富士シティオは、オリコと組んでTカード一体のクレジットカードを発行しています。
クリエイトSDやサツドラは独自の電子マネーを展開しています。
ニチリウとして決済・金融方面には手を出さない様子です。
もちろん新規加盟店には、POSの導入や決済会社の紹介などは行っています。
ニチリウとイオン
ニチリウとイオンは直接は関係ありません。
ただ間接的には関係しています。
現在のマックスバリュ東海の元となっているヤオハン(1997年経営破綻後・2002年にマックスバリュ東海に商号変更)は、ニチリウの発足メンバーの一社です。
なおニチリウに加盟している富士シティオのスーパーは「フジ」ですが、イオングループのフジ・リテイリングとは一切関係ない別の会社です。
また現在はイオングループでありU.S.M.H参加のカスミは、元々はニチリウの加盟していましたが、イオンと資本提携した後、2004年にニチリウから脱退しています。
いなげやもニチリウに加盟していましたが、いなげやがイオンと資本・業務提携した後の2005年にニチリウを脱退しています。
くらしモアとトップバリュ
ニチリウのプライベートブランド「くらしモア」とイオンのトップバリュを比較した場合、トップバリュの方が圧倒的なアイテム数があります。
ニチリウの加盟店でも「くらしモア」をほとんど扱っていないライフのようなスーパーもあるため、どこでどの「くらしモア」が販売されているのか、わかりにくいという欠点もあります。
地域によるイオンとの競合
地域や業種によってイオンと大きく競合しているニチリウグループです。
例えば神奈川県では、クリエイトSDがドラッグストアのウエルシア(ハックドラッグ)とかなり競合しています。
またクリエイトSDは食品も扱っていますが、イオンよりも安いものが多く、牛乳やヨーグルト、お菓子はクリエイトSDで買うという人も少なくありません。
関東でもライフとイオン系列の店舗はかなり競合していることが多いです。
以上、ニチリウ グループと日本流通産業株式会社と「くらしモア」についてでした。
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