今はストアブランドって言葉をあまり聞かなくなったけど、プライベートブランドと同じ意味で良いのかな?
異なるのならトップバリュはどっちなの?
プライベートブランド(PB)とストアブランド(SB)は異なるものだよ、そしてトップバリュはPBもあればSBもあるよ。
ただPBとSBの解釈をどう捉えるかでも少し異なって、少し難しい問題なんだ。
プライベートブランド(Private Brand=PB)とストアブランド(Store Brand=SB)、結局は同じものでしょ?と思う方も多いのですが、異なります。
ただし、厳密に言葉の定義がされている訳では無いため、絶対に正しい!というものはありません。
しかしながらイオンやイトーヨーカドーであれば、特定の言葉の定義としてきちんと区別すべきなのに、区別をしてこなかったために今では違いが無くなりつつあります。
プライベートブランドとストアブランドの2つの分類について、詳しく説明をします。
またプライベートブランド・ストアブランドとは対極にあるナショナルブランドについても説明した上で、トップバリュがどちらなのかも説明します。
ナショナルブランド(NB)とは
ナショナルブランド(National Brand)、略してNBと言います。
ナショナルブランドは、イオンでもヨーカドーでも、他のスーパーマーケットでも、全国的に扱いのある商品のことです。
ほとんどのスーパーではポテトチップスなら、カルビーのものがあります。コーラならコカ・コーラが置かれているでしょう。
こういった商品名・企業名が多くの人に認知されていて、どこでも購入出来る商品をナショナルブランド=NBと言います。
ナショナルブランドの対極にあるもの
ナショナルブランドの対極、反対にあるものがPB・SBと説明されることもあるのですが、別の見方をすれば、異なります。
ナショナルは、 国民的、民族的、国家的という意味であり、つまり国(日本)と言えます。その反対なら、地方となります。
特定の地域しか取り扱いの無い商品があり、それらの商品のことをローカルブランド(LB)ということがあります。
生麺を販売しているメーカーや、醤油メーカー、豆腐メーカーなどはローカルブランドで確立していることがよくあります。
例えば北海道の人でインスタントラーメンや生麺は、藤原製麺を好んで食べる人が多いですが、北海道外にはあまり知られていません。
愛知県の人であれば寿がきやのラーメンを好む人も多いですが、関東や東北、九州ではあまり知られていません。
このように特定の地域では有名だけど全国的には有名では無い商品がローカルブランドです。
ただローカルブランドでも全国的に人気になってナショナルブランドになった商品はいくつもあります。
小売業に勤める人にとってPBとSBの違い
まず簡単にプライベートブランド(PB)・ストアブランド(SB)について説明すると、特定の企業のみが販売している商品と考えてください。
その上で、PBとSBがなにが異なるのか説明していきます。
PBとSBの違い
- イオンの創業者=岡田 卓也
- イトーヨーカドーやセブンイレブンの創業者=伊藤 雅俊
- ダイエーの創業者=中内 功
- ニチイ(マイカル)の初代社長=西端 行雄
- ユニー(アピタ)の創業者=西川俊男
上記の大手スーパーの創業者たちが師として仰ぐ人物がいます。渥美俊一さんです。
1962年にチェーンストア経営研究団体ペガサスクラブという団体を作り、そこに上記の大手小売業の創業者だった人が加盟し、日本のチェーンストアの黎明期を作り上げてきました。
その渥美俊一さんの書籍で「商品構成」と呼ばれる本があります。
イオンの昇進試験の課題図書にもなったことが何度もある本だよ。何度読んだことか・・・ww
この本の中でプライベートブランドは下記のように説明されています。
仕入れられない品、まだ生産されていない品であるにもかかわらず、客の買う立場、使う立場、食べる立場に立って、必要だとして商品開発された品がプライベート・ブランド
一方でストアブランドについては下記のように説明されています。
ナショナルブランド化されたうち、それを客の買う立場、使う立場、食べる立場にあって、品質及び価格を改善したものがストア・ブランド
つまりプライベートブランドは無いけど必要だから作られた商品であり、ストアブランドは既にあるものを改善した商品ということになります。
- プライベートブランド=必要だけど無いから作った商品
- ストアブランド=あるものを改善した商品
言葉だけの説明だと難しいので実際にイオン等で販売されている商品で説明します。
トップバリュはPBかSBか
トップバリュは、PBかSBかと言えば、両方があります。
トップバリュの「外箱を省いたティッシュペーパー」はありそうで無かった商品ですが、ニーズはありました。
これがまさにプライベートブランドです。
箱は使い回せば良い、その分安いティッシュペーパーが欲しい!という需要はあったけど、箱の無いティッシュペーパーはほぼ存在していませんでした。
一方でどこに行っても販売されている1リットルの紙パックの牛乳。
これらはNB(ナショナルブランド)よりも価格を抑えて販売するために作られたものだということに違和感はありませんよね。
つまり既にあるものを価格的に改善したものであり、プライベートブランドではなく、ストアブランドになります。
イオンとかヨーカドーにしても創業者が師と仰いでいる人の言葉を無視して、イメージ戦略でトップバリュ・セブンプレミアムをすべてプライベートブランドと宣伝しているからおかしいんだよね。反省して欲しいです!ww
最も消費者って、そんなこと気にしないので戦略的には致し方ないことなんですけどね。
販売規模で見るPBとSBの違い
プライベートブランド・ストアブランドと言っても販売しているスーパーが作っている訳ではなく、メーカーが作っています(例外あり)。
メーカーが小売業から依頼を受けて作ってはいるけど、卸している先がその小売業者だけで無い場合、実質的にはメーカーのプライベートブランドと言えるようになるため、プライベートブランドと呼ぶことがあります。
例えば北海道で一番人気のコンビニ「セイコーマート」のプライベートブランド商品の一部は、全く関係ないイオングループのウエルシア薬局に卸されて販売されています。
またウエルシア薬局やイオンで販売されている医薬品ブランド「ハピコム」はハピコムに加盟している薬局のみで販売されており、加盟していないマツキヨ等の薬局では販売されていません。
そしてメーカーから見て、決まった小売店のみで販売される商品をストアブランドと呼ぶことがあります。
- プライベートブランド=会社に関係なく特定の店舗・団体のみで販売される商品
- ストアブランド=特定の小売業者が自店のみで販売するための商品
この区分だとトップバリュやセイコーマートブランドの商品は、自社や自社グループ以外でも販売されているため、プライベートブランドとなります。
一方で西友の「みなさまのお墨付き」は西友グループのみでしか販売していないのでストアブランドということになります。
ボランタリーチェーンで販売されている商品、例えば「CGCブランド」の商品はいろいろなスーパーマーケットで販売されているので、プライベートブランドと言えます。
もっともこの区分だといろいろな店舗に卸すようになった商品はプライベートブランドではなく、ナショナルブランドとの差が無くなるため、矛盾するようになります。
でも既に社会的にプライベートブランドもストアブランドも区別が無く購入されているので、気にする必要性が無いとも言えます。
なぜプライベートブランド・ストアブランドを作るのか?
でも、何でプライベートブランド・ストアブランドの商品をどこのスーパーやコンビニも作ろうとしてるの?
ナショナルブランドだけでも良いんじゃいないの?
それはね、メーカーと小売業、両者にとってメリットがあるからプライベートブランド・ストアブランドは作られるんだよ。
プライベートブランド・ストアブランドは怪しいから買わない!という人は一定数いますよね。
特にイオンのトップバリュは少し前まで製造社が記されていないこともあって、怪しい会社が作っているのでは?と心配になって購入しない人も割といました。
今販売されているトップバリュのメーカー名を確認してもらうとわかります。ただし食品のみで日用雑貨品は除きます。
でも、安ければ良いし、それほどひどい商品は販売しないだろうということで買う人もいます。
その通り、プライベートブランド・ストアブランドはナショナルブランド(明治とかロッテとかコカコーラとか、どこに行っても販売されている大手メーカーがメーカー名を出して販売している商品)に比べて割安になっています。
なぜ安くなるのか?なぜメーカーにもメリットがあるのかを考えるとプライベートブランド・ストアブランドの商品を出す意味が見えてきます。
メーカーは在庫負担が一番厄介な問題
メーカーは商品を売り出したいので宣伝をして売り出します。
でも、必ずヒットするとは限りませんし、中には予想をはるかに下回って全く売れない商品となることもあります。
そうなると在庫が倉庫の中に貯まってしまいます。
倉庫の中に保管しておく場合は、倉庫の維持費・保管料が発生します。
日付が古くなって廃棄する場合でも、廃棄手数料が発生します。
つまり作ったのに逆に利益を圧迫することになる可能性があるわけです。
一方でプライベートブランド・ストアブランドは販売会社・小売業者から依頼を受けて作るのですが、その時に生産数の契約や保管料の契約も行います。
たとえどんなに売れなくても生産数の契約をした以上、販売会社・小売業者は買い取らないといけませんし、一定期間経過後はメーカーの倉庫から商品を持ち出さないといけません。
在庫リスクは販売店・小売店が背負うことになります。その分メーカーはリスクが無くなるので原価を安くすることが出来ます。
つまりメーカーは安心して商品を作り、安定した収益を確保出来るようになり、販売会社・小売業者はナショナルブランドに比べて安い価格で商品を仕入れることが出来るようになります。
メーカーにしても小売業者にしてもWin-Winの関係になる訳です。
物流コストも下げられる
プライベートブランドの多くは各店舗ごとに納品はせず、小売業者の物流センターに一括納品をすることが多くなっています。
つまりメーカーにしてみれば、物流コストも下げられるので、その分原価を下げることが出来ます。
小売業者は分類して出荷するという手間は増えるものの、その原価を下げてもらえるのでトータルでは利益幅が大きくなります。
ここでも、Win-Winの関係になる訳です。
問合せコストも下げられる
増えるクレーマー、メーカーも小売店も悪質なクレーマー対策に悩んでいることがあります。
特にメーカーにしてみれば「商品に傷がついていた!」とか「腐っていた!」と言われてもどの段階でそうなったのかわからないことが多々あります。
生産時の問題なのか、それとも配送時の問題なのか、店頭に並んだ後の問題なのか、それぞれで責任の所在が異なるのでメーカーにしてみれば、クレームを言われても困ってしまうことがあります。
でもプライベートブランドであれば一次的なクレームは販売店が受けるので、メーカーに来るクレームの多くは生産時のもののみとなり、クレーム・問合せに対するコストも下げられます。
小売業者にしてみれば、メーカーの問合せコストが減る分、メーカーに原価を安くしてもらえる訳です。
工場の稼働率も上げられる
メーカーにしてみると工場の稼働率を上げることが製造コストを最も下げることになります。
工場を稼働させていない時間が増えれば増えるほど設備投資がしにくくなります。
卸値の低いプライベートブランド・ストアブランドを作って工場の稼働率を上げる方がトータルでメーカーの利益になるため、メーカー側も受け入れているということがあります。
プライベートブランドでお得になろう!
プライベートブランドとストアブランドの違い、なぜプライベートブランド・ストアブランドを作るのか、わかったと思います。
そしてプライベートブランド・ストアブランドがなぜ安いのか理由がわかって安心出来たと思います。
せっかく安い商品があるのだから、安い商品であるプライベートブランド・ストアブランドを上手く利用してお得に生活をしてくださいね。
個人的には西友の「みなさまのお墨付き」が結構好き!
以上、プライベートブランド(PB)とストアブランド(SB)の違いについてでした。
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